レン耐 イベント 2024.02.11
レン耐レポート【東日本シリーズR-2】第2戦Let’sレン耐筑波 4時間耐久レース
<開催概要>
大会名:SEV杯 Let’sレン耐4時間耐久レース
開催場所:茨城県・筑波サーキット コース1000
開催日:2024年2月11日(日)
天気:晴れ
気温:11℃
<開催クラス>
マイスタークラス 5台
グロム5クラス 12台
グロム125クラス 14台
参加チーム:31台
総勢: 130名
<リード>
20周年目のレン耐となる2024年、その2回目の開催となったのは今年最初の筑波戦。2024年2月11日(日)、茨城県にある筑波サーキットTC1000で真冬の4時間耐久レースとなった。2月の開催ということで、やはり冷え込みは厳しく早朝の最低気温はマイナス1℃まで下がっていたものの、陽が当たるところはそれなりに暖かく最高気温は11℃まで上昇した一日となった。
今回は、HRC(株式会社ホンダ・レーシング)の渡辺康治代表取締役社長も会場に直接やってこられ、さらには表彰式まで参加、直接表彰台に載った参加者たちにトロフィを手渡していただくという、めったにない貴重な機会ともなった。また「HondaTV(ホンダの事業所内向けのTV放送)」の取材も入りにぎやかな一戦となった。
建国記念の日となるこの日、途中で風が強くなる場面もあったもののレースの前後も含め終日好天に恵まれた。まだまだ日の短い冬のレン耐ということで朝は少しゆっくり目の午前8時半から受付開始となり、レース自体も4時間耐久のみの開催ということもあって、余裕のあるスケジュールが組まれている。昨年末からレン耐で導入が試みられている予選トップ10トライアルがこの筑波でも初めて実施されることとなっている。
「トップ10トライアル」は、通常と同じ20分間のフリー走行を行った中でのベストタイムでトップ10に入ったチームが、その後8分間のタイムアタックで最終的なグリッドが決まる、というもの。どうしても燃費競争になりがちなレン耐に新たなチャレンジングな機会が設けられた、ということ。GROMの性能、そして自身のライディングテクニックをしっかりとアピールする機会ともなる。
フリー走行終了後の午前10時27分にスタートしたトップ10トライアルでも、引き続き#16「チームHiroshi’sキッチンwith ソードー」で走る濱原選手は44秒319、さらに44秒157、さらには43秒893とベストタイムを更新していき、別格の速さでポールポジションを獲得。その16号車を先頭に、#14「HNJPN264R」、#23「team the Voice-B」、#21「MNC Racing Team」、#9「ともっちと愉快な仲間たち」、#29「イケイケ団」、#13「TEAM55」、#1「■TeamYSR」、#8「ガラメイと所沢栄華」、#2「RT ザ 青梅」という順でトップ10に進出した10台が先頭グリッドに並ぶこととなった。
そして前者が再びコースに戻ってグリッドに整列。決勝レースは予定よりも5分遅れとなる午前11時5分にスタートした。スタートダッシュを決めたのは#29「イケイケ団」、そしてオープニングラップを制したのは9番グリッドからスタートの#8「ガラメイと所沢栄華」だった。それを29号車、そして9号車が追う展開。ポールポジションスタートの16号車の濱原選手はスタートライダーも続けて担当。
ル・マン式スタートでは出遅れ感があったものの、その後追い上げを見せ、6周目にトップに立つと10周目には2番手と4.4秒差まで広げることに成功。しかしレン耐のレギュレーションでは、全日本ライダーなどプロライダーの走行は1回の走行で最大15分までという上限がある。このため、16号車は17周終わりでピットインし、トップから後退するも、トップグループでレースをリードしていくこととなった。大柄な男性にとって「ミニバイクだから~」という逃げ口上が通じないことを如実に語る身長191cm体重90kgの濱原選手の走りに吊られてか、序盤からレースのペースは速めであった。
今回はダブルペリア式ハンデの適用がGROM4クラスのみということもあって、GROM5クラス及びマイスタークラスはレース前半のペース配分の駆け引きもないままにレースは進行していく。ただ今回は給油サービスもこれまでよりシビアな1L(GROM5車両。GROM4は2L)ということもあって、レース終盤にこれがどう響くのか、が心配なところ。
また、コース後半の高速左コーナーからのS字区間に設定された「おもいやりゾーン(追い抜き禁止区間)」での追い越しやイエローフラッグ掲示中の追い越しが頻発する。「おもいやりゾーン」では追い越し回数分の周回数減算のペナルティが課せられるだけでなく、3回追い越しが確認されるとコントロールタワーへの呼び出しと警告も行われた。このペナルティも大きく結果を左右することとなった。
午前11時42分にはこのレース初となるFCYが導入される。このFCYは落下物(メガネ)の回収のためのものだったが、レースは1時間を経過した12時を過ぎると転倒が頻発。そして午後12時26分には、転倒者によりこの日2度目のFCYが導入されることとなり、さらにはレース残り10分を切ったところでも転倒者が出たためのFCYが導入されるなど、若干荒れ気味。
それでも、マイスタークラスの#1「■TeamYSR」、#16「チームHiroshi’sキッチンwith ソードー」、GROM5クラスの#14「HNJPN264R」、#13「TEAM55」、#9「ともっちと愉快な仲間たち」、そしてトップ10トライアルに進出はしていない#10「浜ッシュ」といったチームが上位で順位を入れ替えながらレースは進行していく。
そしてレースも折り返しとなり、GROM4クラスでは、恒例のダブルペリア式ハンデを決める時間となった。14台が参戦するGROM4クラスでは、下位に沈んでしまった3台が転倒を喫しており、トラブルなく走行しているチームのうちの最後尾としてサイコロを振る権利を獲得したのが、11番手を走行していた#25「Official筑波ndism」チーム。今回はサイコロを2個使用し、「2」から「11」内での設定ということとなった。そして振られたサイの目は「5」となり、5番手を走行していた#24「Kspeed creations」の2時間走行終了時の周回数121周と、クラストップであった#28「Racing Crew438(127周)」との周回差である6周を基準とし、1.5倍の9周が11番手以降のチームに付与されることとなった。また2番手から4番手までもそれぞれの周回数差に1.5倍のハンデが加算された。ただ、この筑波戦ではレース終了後にこのハンデが付与されるため、レース中のラップモニター上では確認することができず、各チームそれぞれが計算をしながらこの後のレースの戦略を練っていくこととなる。
その後レースは午後2時を過ぎ、残り1時間を切ると、走行の怪しいチームがちらほらと出始めてくる。上位を走行していた13号車は残り25分という時点でガス欠症状が出始め、一度ピットに戻ってきたものの、再スタートができず、給油措置もないためそのままリタイアとなってしまう。同様に終始トップ争いを展開していたマイスタークラスの1号車も残り10分というところでピットに戻ってきたところで万事休す。もちろん、コース上でガス欠で止まってしまう車両も続出。1号車とのバトルを展開してきた16号車も最後の最後でガス欠でストップ。
そして代わってトップに立ったはずの3号車もチェッカー直前にガス欠となり、トップと4周差で3番手を走行していた#2「RT ザ 青梅」にチェッカーが振られレースは終了となった。
多発したペナルティなどもあり集計作業に時間がかかったものの、各クラスともにどこが勝ったのかが、わからぬまま、結果を心待ちにする各チームが集まって表彰式が行われた。
マイスタークラスを制したのは#16「チームHiroshi’sキッチンwith ソードー」であった。
元ブリヂストンでモータースポーツに長年かかわってきた山田宏さん率いるチームだが、今回は「ガチで勝ちに来た」という。これまでももちろんプロレーサーもチーム員として迎えていたものの、お笑い芸人であったり、新人さんであったり、レースを楽しもうということがコンセプトのチームなだけに山田さん自身にとってレン耐勝利経験はゼロだったという。今回は初めてマイスタークラスへの挑戦ということもあり「どこまでできるか」へのチャレンジでもあったという。「ガス欠をしてしまいましたが無事に勝ててうれしかった。濱原選手のような大柄な選手がGROMでこんなに速く走るのを間近で見てもらえて、ほかの参加者の皆さんのモチベーションの向上につながればいいですね(笑)。また次からも楽しんで参戦したいと思います」とコメントしてくれた。
GROM5クラスでは、おそろいの黄色いTシャツで参戦の#9「ともっちと愉快な仲間たち」が優勝。
「最近は転倒も多くて、今回は無転倒を目標に走りました。ガソリンは計算していたんですが止まってしまいました。今日はレース前半から速くて、途中でヤバいって気が付いたんですが残り10分でガス欠症状が出て…。おもいやりゾーンでのペナルティも受けてしまいました。気を付けていたんですがパイロンが3つあって、それを間違えていたみたいでコントロールタワーに呼び出されちゃいました。これからはもっともっと気を付けたいと思います」。
GROM4クラスでは#29「イケイケ団」が同一ラップの24号車を振り切り優勝となった。
この「イケイケ団」で参戦をしていた鈴木和浩さんの訃報もあり、この日の朝のブリーフィングでは参加者全員で黙とうをさせてもらったところ。「今日は鈴木さんの追悼レースでもあり、人生初レースのふたりを連れてきて優勝を味合わせてあげたいと思っておりました」と。「鈴木さんが勝たせてくれた」と、涙ぐむチーム員の姿も。
正式結果は以下のとおり。
<4時間耐久>
マイスタークラス
1位 #16 チームHiroshi’sキッチンwith ソードー 270周
2位 #3 どこどこツインズ 269周
3位 #2 RT ザ 青梅 268周
Grom5クラス
1位 #9 ともっちと愉快な仲間たち 255周
2位 #12 鳥栖サラリーマンズ 249周
3位 #14 HNJPN264R 248周
Grom4クラス
1位 #29 イケイケ団 264周
2位 #24 Kspeed creations 264周
3位 #27 APOLLO 263周
人生初レース
1位 #29 イケイケ団 264周
2位 #27 APOLLO 263周
3位 #22 team the Voice-A 260周
特別賞:
参戦した6名のライダーが全員人生初レースであり、転倒もなくペナルティも受けることなく非常にクリーンなレースをしたということで、
「#31 ベベルギヤ同好会」に贈られた。